日別アーカイブ 2019年6月14日

投稿者:ad119rqcur.

不動産業界におけるAI活用法とそのメリットとは?

AI(人工知能)の活用は様々な業界に広がり続けています。大量のデータの蓄積さえあれば、それを解析する事で新たな事業を展開できますし、これまでは気が付かなかった新たなサービスを生み出せる可能性があるから。そしてそれは不動産業界も例外ではありません。

実際、不動産の物件価格はこれまで業者が相場に加えてそれまでの経験を加味して付けることも多かったのです。もちろんそれは公示地価、基準地価、路線価といった、公開されている価格をベースに算定するのですが、立地や築年数など、価格には他の要因もあるため、人間の経験に依るところが多くなります。しかし、これをAIで判定して自動で値付けをすることができるようにしようという動きがあります。

それ以外にも、ネット上での問い合わせをチャットボットで対応しようという動きがあります。さらには検索で表示する内容をAIで判断して選別するという仕掛けも動き出しています。

不動産業界も人材不足することが予想されます。それに加え、現状でも増えつつある空き家が問題になっていますが、今後さらに空き家が増えると、物件査定も難しくなってゆく、つまりは物件への投資も難しくなってくるのです。人間では難しいこれらのものを、AIを利用することで乗り切ることがメリットであるという事になります。

AIと不動産の相性は抜群?

ではそもそも不動産業界は他の業界と比較して、AIとの親和性はどうなのでしょう。AIと合うかどうかは大量のデータが存在しているかどうかが肝になります。そういう意味では、実はそれなりに使えるデータが揃っているのが不動産業界なのです。

その地域の基本的な土地の価格は、先にも紹介した公示地価、基準地価、路線価を基本として算定されています。しかし、それ以外にも最寄り駅からの距離、周辺の利便性、自治体の公共サービス具合、そして物件の築年数など、様々なデータを参照しながら価格は決まっていきます。

そのため、それらのデータをAIに学習させ、さらにこれまでの取引実績などを合わせることで、AIは適切と思われる価格を弾き出すことができるのです。

もちろん、同じデータを使えば物件を探している個人に対して、条件に合う最適な物件を提案することも可能となります。同じ事は企業向けにも行え、もっと言えば、投資物件を探している個人・法人に対してもAIによる自動解析結果をサービスとして提供できる可能性があるのです。

それ以外にも、他の業界と同様、問い合わせに対してチャットボットや音声アシスタント機能を利用しての自動応答サービスも可能となってきます。これも不動産業界では同じ様な問い合わせが多く寄せられている部分をAIで自動化することで早くお客様の質問ニーズに回答することに繋げられるはずなのです。

不動産業界におけるAI導入事例

では、これらのAIが活用可能なシーンを、すでに取り入れている導入事例としては、どのようなものがあるのでしょう。

まずは価格決定。

ある会社は、5800万件に及ぶ不動産ビッグデータとAIを組み合わせた業務パッケージを提供開始しています。その中心は賃料や物件査定、そして投資分析です。自分たちが知らないエリアであっても、ビッグデータからの分析による査定を行えるため、売買物件に対しては売買価格を、一方賃貸物件のオーナーに対しては賃料を納得してもらいやすい形で提案できるようになっています。

さらには、数十年先まで物件価格の査定を行う事で、投資をした場合の「収益性」「安全性」「将来価値」などのシミュレーションまでできます。

次に物件紹介に関わる部分。ここではお客さまからの問い合わせに自動で返信を行う「AIチャット」サービスが行われています。これまでの問い合わせ内容を学習させることで、自動返答が可能です。これは他の業界向けにもあるチャットボットサービスそのものです。

物件側でもAIが利用され始めています。現状ではまだまだ例が少ないですが、例えば鍵がなくても解錠できるシステムが登場しています。マンションのエントランスで顔認証によるオートロックの自動解錠を行うほか、マンションや地域の情報を住民に合わせた内容でデジタルサイネージに情報を表示可能となるのです。

AIが変える不動産業界の未来とは?

不動産業界のAI利用はまだまだ始まったばかりです。例えば今後、空き部屋に温度、湿度、照度、騒音などを測定するセンサーを設置すれば、これまでは現地見学をしない限りわからなかった様々な環境指標を可視化することができるようになります。物件検索時にこの情報があらかじめわかっていれば、より条件を絞ってから見学を行う事ができます。

これにより賃貸の場合には貸主お客様両方の負担を減らすことが可能です。また売買物件の場合も同様です。

ここに学校に関するデータをはじめ、レジャー施設、コンビニやスーパーなどの商業施設、駅などの交通系情報、さらには警察署、消防署、病院や市役所などの行政関係のデータまで、つまり全ての地域環境を一緒に入れておけば、物件の価値を多面的にチェックすることができるようになります。

ここまで情報が増えると人間が適正価格を設定するのは難しくなってくるため、AIの出番となるでしょう。

今後これが進んでくるのは明白ですが、ならばこそ人対人のサービスの価値も活きてきます。人工知能に任せる部分は任せ、「人ならではの部分」を最大限活かすべく、当社もビッグデータ活用を進めていきたい次第です。