グラン・トリノの栄光

投稿者:ad119rqcur.

グラン・トリノの栄光

先日アメリカ・デトロイトの街の現状のドキュメントを観ました。

市長の懸命な頑張りに関わらず一時期年金は9割カットという死刑宣告に近い行政運営となっていたものが、その後の資金集めなどが功を奏して、住民の暮らしや治安は向上しつつあるようです。

街の歴史はアメリカ自動車産業の斜陽の歴史そのもので、坂を転げ落ちるのを喰い留められないまま、貧困と犯罪に喘いできた感がありました。

日本を含む輸入車攻勢や国内の不景気を呪う前に、できることは色々あったでしょう。

しかし、これは他人ごとではありませんが、アメリカの市民が幻想を抱かされ、丸め込まれ続けた結果、今の苦しみがあるという側面もあります。

ドキュメントの中で印象的だったのは、「何もかも失ったようで、昔の良い思い出は残っている」と言った市民の言葉です。

思い出を糧にして、人はやり直せる。

デトロイトを舞台にした映画「グラン・トリノ」で、クリント・イーストウッドはそのことを描きたかったのかな、と思いました。

70年代のフォード グラン・トリノは、大切な思い出の一台。

過去の栄光にすがっているようで、その一台の車は主人公が自らの先入観や偏見、過去と向き合ってゆく再生の助けとなっているようでした。

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