不動産売却で贈与税が関係する場合は?

投稿者:ad119rqcur.

不動産売却で贈与税が関係する場合は?

不動産売却時の贈与税とは?

まず贈与税はどのような税金なのかをご説明します。

贈与税とは?

贈与とは、金銭的な価値のある財産を無償で第三者に譲り渡す行為のことで、第三者は親子などの親族も含まれます。

贈与税とは、贈与を受けた側が、贈与した財産の価値に応じて収める税金です。
相続税には大きく分けて暦年課税と相続時精算課税の2つの制度があり、どちらかを選択することになっています。

暦年課税:毎年110万円の基礎控除枠があり、年間の贈与額が110万円を超えると、その資産価値に応じて課税。

相続時精算課税:選択した以降は2,500万円までいったん非課税で相続財産に合算し、2,500万円を超えた分について20%の課税。

暦年課税は100万円の基礎控除の課税標準額によって税率と控除額が異なり、1,000万以下の例では税率40%、控除額125万円です。

たとえば1,000万円の贈与を受けたケースでは、1,000万円-110万円×40%-25万円で、贈与税の金額は231万円となります。

この2つの制度の使い分けは、生前にまとまった額の贈与をしたい場合や、価値が上がる前の価格で税額を確定したい場合に、相続時精算課税を選択します。

贈与税の難しさは、財産を売買する場合でも、実際よりも低い金額でおこなった場合、脱税とみなされて贈与税を課税される場合がある点です。

親子、夫婦、法人と経営者などのほか、完全な他人同士でも譲渡所得への課税を逃れる目的で低額の売買をおこなうと、贈与税がかかってしまうことがあります。

離婚と贈与税

離婚にともなう自宅の売却の場合に、贈与税が課税される場合があります。

離婚の財産分与での売却の場合、贈与税も譲渡所得税も課税されないのが基本ですが、以下のような場合は贈与税がかかる可能性が出てきます。

●分与された自宅の資産価値が、婚姻期間中の夫婦の協力で得た金額、その他の事情を考慮して、多すぎると判断される場合。

●贈与税や相続税を免れるための偽装離婚であると疑われた場合。

多すぎるという判断の場合は、過剰な部分に対して、偽装離婚の疑義の場合は財産分与対象のすべての金額に対して贈与税が課されることになります。

相続と贈与税

贈与税がもっとも関係が深いのが、相続時と言えるでしょう。

贈与税と相続税と、同じ資産について支払って少ない金額で済むのは、原則として相続税の方です。

その理由は、相続税の方が税率が低いからですが、例外のケースもあります。

後述する贈与税の控除枠内で贈与していく方法もあることと、相続税の基礎控除枠をどのくらい超えているかによっても、贈与税の対象で財産を授受した方がよい場合があります。

また、前述のように価値の上がる可能性が高い不動産、株、投資信託などは、贈与を早くおこなって現在の価値で贈与税を払った方が良いという判断をおこなう場合もあります。

不動産売却時に贈与税がかかるケースとは?

これらのほか、売却で贈与税のかかるケースをさらに見てみましょう。

親族間の取引

親子や兄弟など、親族の間で不動産を売買する際に、贈与税が発生することがあります。

離婚の際も触れましたが、実際の価値よりも安く取引をした際の課税がこれにあたります。

たとえば1,000万円の価値のある物件を100万円で親族間売買をした場合、実際の相場との差額である900万円に対しても、贈与税が課税される形となるのです。

これが相場どおりの1,000万円の取引であった場合は、贈与税はかかりません。
税務署は親族間の売買については、とくにチェックが厳しくなりますので、対応については、多数のケースをノウハウとして持つ弊社へのご相談をお待ちしています。

法人に関係する取引

次に、関連会社間の取引や、法人とその代表者の間での取引についてです。

これらのケースもやはり、利害の一致した間柄の売買となりますので、売買価格と適正な相場との間の差額に関して、贈与税課税の可能性があります。

親族間売買同様に、税務署のチェックが厳しくなりますので、要注意です。

低額譲渡の問題に注意

ここまでのご説明のとおり、実際の相場よりも低額の「定額譲渡」は、問題にされることが多いです。

税務署は、不動産を売買したことやその金額を登記簿謄本や確定申告で把握し、低額譲渡として問題のありそうなケースについては指摘がされます。

確定申告自体がおこなわれていなかった場合では、税務調査が入ることもありますので、販売価格の決定は慎重におこないましょう。

不動産売却時の贈与税など税金を軽減する方法は?

売却にかかる贈与税が発生しそうな場合、税額を軽減する方法をご紹介しましょう。

毎年110万円づつの贈与

暦年課税の控除枠の、毎年110万円以内の金額を毎年贈与していくことで、基礎控除枠内に収める方法です。

たとえば、1,000万円の土地を10年かけて現金で贈与し、10年後に売買契約を結んで権利移動をおこない、贈与税を軽減します。

この方法で注意が必要なのは、毎年定額を贈与していると税務署から「定額贈与」とみなされる可能性があることです。

定額贈与では、毎年定額、合計いくらの贈与をする旨の契約書を作成し、予定された合計額に対して贈与税が課されるものです。

このようにならないために、毎年ごとに贈与契約書を作成する、毎回の贈与額や金額を都度変えるなどをします。

贈与税の配偶者特例

贈与税の配偶者特例は、婚姻期間が20年以上の妻にマイホームやマイホーム購入資金を贈与する場合、2,000万円まで非課税にできる制度です。

この特例は通称「おしどり贈与」と呼ばれるのですが、配偶者の老後の立場を安定させるはたらきがあります。

持ち家の名義の方が亡くなった場合、もっとも多いパターンとして配偶者と子どもが家を相続するかたちになります。

この際に配偶者が一定条件で住み続けられる権利を保証した「配偶者居住権」がありますが、おしどり贈与は生前に家の権利を配偶者に移行し、トラブル回避を狙うものです。

また、熟年離婚の際に財産分与として適用もできますが、一般的な離婚の財産分与はどのみち贈与税は課されないため、早く話し合いを収束させたい場合の利用となるでしょう。

住宅取得等資金の贈与の特例

住宅取得等資金の贈与の特例は、18歳以上の方が父母や祖父母などの直系尊属からマイホーム購入の資金について贈与を受ける場合、一定額まで非課税にできる制度です。

年ごとに細かく改正がおこなわれ、年々上限額は減っていますが、現在は以下の基準で令和5年末まで適用されます。

耐震・省エネルギー住宅の場合: 1000万円
上記以外の一般住宅の場合: 500万円

なお、2022年適用分から、贈与される方の年齢が20歳から18歳に引き下げられました。

築年も、20年以内(耐火建築物は25年以内)であったものが、1982年1月施行の新耐震基準に適合していれば良いことになりました。

この特例を利用すれば、建て替えや2世帯住宅取得等の際に無理なく資金を分担し、家づくりをおこなうことができます。

たとえば、マイホーム購入の初年はこの特例の上限の1,000万円の贈与を受け、以降年ごとに110万円以下づつの贈与の形をとることもできます。

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