あの御大への違和感

投稿者:ad119rqcur.

あの御大への違和感

すこし古い話題となりますが、音楽プロデューサーの松尾潔氏のスマイルカンパニー契約解除をめぐって、御大・山下達郎さんがラジオで放ったコメントが、まだ気になっています。

達郎さんの主張に納得できる面や、プラスに想像しうる面はたくさんあります。

「作品に罪はない」 これは全くその通りでしょう。

「ジャニー氏に恩を感じている」恩人にこういう態度を貫く人は好きです。

むやみに時代に迎合しない姿勢も、好ましいと思います。

音楽家としての実績には、尊敬以外の何があるでしょう。

また、性加害は悪としても、事務所を一斉に叩きまくる現在の流れを正視できない、というか信じられない。何か裏があると思って普通でしょう。

ただ、おかしいなと思う点もあります。

今回松尾氏が問題にしたのは姪のジュリー景子社長であって、ジャニーさんではありません。

それで問題が波及するのは、松尾氏の才覚や実績と関係ないところで何かが動いたと言わざるを得ない。

また、以下の発言に集約されている気がするのですが・・・・、

「このような私の姿勢を忖度、あるいは長いものに巻かれているとそのように解釈されるのであれば、それでも構いません。きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう」

もうジャニーズ事務所が長いものだとは誰も思っていないし、ここでこれを言ってはダメだと思うのです。せっかく貫いた恩義が霞んでしまう。

ここでそんな憶測の可能性を出す必要は、全くなかったのに。

そして何より、「きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう」です。

これは意訳すると「俺の音楽なんか聴くんじゃねえ」となりますが、創作者が聴く人を選別するのは、作品の解釈を強制するくらいアウトな行為です。

心の中で思っていても、口にするべきではない。

「分かるのは通だよね」というエリート主義・選別主義に繋がってしまう。

ポップミュージシャンという職人業に誇りを持ち、努力によってその地位を高めてきた功績のある御大が言うと、余計にまずいと思います。

音楽家は仏である必要はないです。

その時々感じたことを発信するのは、俳優と違って生き方を売っている以上、あってしかるべきかもしれない。

けれど、何でもコンプライアンスの世の中だからこそ、どんな至らない人も、悪い奴も肯定する懐の広さは持っていてほしいなという願望を感じます。

御大の好きな、落語の世界のような懐です。

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