コロナ禍や、都市一極集中が穏やかになってきたことで、都市部を中心に、賃貸物件の借り手市場化が進んでいます。
とくに狭小面積や、駅から遠いなどの物件は不利となっているようですが、どうにかして対策をしたいものです。
<ターゲットの見直し>
以下のような、どちらかというと敬遠しがちだった、あるいは想定していなかったターゲットに目を向けてみましょう。
●高齢者
●リモートワーカー
まず、いままではニーズがあまりないうえ、敬遠もしがちだった高齢者の方の受け入れです。
団塊世代のリタイアにともなって、駅から離れた戸建の広さや、管理を持て余し、自宅の不動産は売却したり貸し出して、他に移りたいニーズが増しています。
しかし、自分の子供家族との同居は、気兼ねしてしまう方がほとんどです。
そして、コロナ禍で顕著になったのが、リモートワーカーの存在です。
もともと、現在の20歳代の人は、家財も少なく広い居住スペースを必要としない傾向にありましたが、リモートワークですこし事情が変わりました。
広さとは違いますが、自宅内で仕事やリモート会議をする空間と、プライベートの空間を分けたいというニーズが生まれました。
これらの新しいターゲット像に合わせて工夫して募集することで、空室対策をおこなうのです。
<ターゲットに合わせた配慮>
高齢者の方が賃貸物件を利用するうえで、最もカギとなるのがバリアフリー対策です。
玄関土間の広さ、廊下などの滑りにくさ、部屋間の段差、浴槽と洗い場の段差、手すりなどの対策が可能か検討しましょう。
最近は見守り装備も安価に導入できるほか、助成金、終身建物賃貸借契約など高齢者受け入れを支援する制度もあります。
高齢者とリモートワーカーは、買い物施設や医療機関などが近ければ、駅から遠い点は、あまりウイークポイントになりません。
リモートワーカーは、限られた空間内で生活のけじめを求めますので、パーテーションや、簡単なワークスペースを備えるのも良いでしょう。
ペット可も空室対策となりますが、ただペットOKにするだけでなく、傷つきにくい壁や床、散歩のあとに使える水道など、ちょっとした配慮が、成約率を高めます。
<設備導入の際もターゲットを考えて!>
部屋がなかなか埋まらない中、設備投資を考えるのは、出資者である不動産物件オーナーにとっては苦渋の選択です。
しかし、むやみに設備を新しくするだけでは、誰に喜んでもらうのかがはっきりせず、空室対策につながらない可能性があります。
ターゲットによって求められる設備は変わるため、誰に向けて物件をアピールするのかを最初に決めてから、設備導入を検討しましょう。
<効果的な設備導入の例>
たとえば、独り暮らしの女性社会人に効果的に訴求する設備は、モニター付きインターフォン、宅配ボックス、温水洗浄便座の3つです。
都心のワンルームが苦戦する中、この3つを備えた女性専用物件は、比較的決まりやすかった例もあります。
このほか、女性に喜ばれるのは24時間ゴミ出し可や、共有部分が充分に明るいことです。
効果的な導入ということでいえば、周囲の差別化する方法もポイントとなるでしょう。
周辺物件があまり導入していないセキュリティや、防音対策を取り入れることで効果を上げる場合もあります。
高齢の方には、可能なら室内の温度が水回りまで均一に保たれるようなしくみ、あるいは脱衣所や浴室を温める設備や方法があれば安心でしょう。
設備ではありませんが、高齢の方が多い場合は、コミュニティやイベントがあれば、差別化する方法となる可能性もあります。